婚前道中膝栗毛

結婚前の男女がリアカーで歩いて日本縦断に挑戦する「ガチンコロマンスドキュメンタリー」笑いあり涙ありの物語。byヒデアキ&みのり

episode of NAO【小学6年生に教わった大切なこと】

僕らは、鹿児島から北海道までの道中を歩いているわけだが、様々な人が一緒に歩きにきてくれる。ヒッチハイクで来てくれたり、僕らに会ってみたいからと福岡から来てくれたり、道ばたで歩いていて声をかけてくれた方が「明日一緒に歩いていいですか?」と参戦したり様々だ。

そんななか小学生6年生の男の子(ナオ君)も婚前道中膝栗毛に参戦した。しかも東京からひとりで新幹線に乗って。そして金沢駅富山駅までの5日間を共にした。

 

そんな5日間ナオ君と過ごして感じた事をまとめました。

 

1.ラベリングしようとしてしまう

ナオ君はもともと知っている子だったが、僕は普段小学生と触れることがないので、小学生の生態系の知識は皆無(自分の子どもの頃の記憶もあまりない)

普通の小学6年生は、どれくらいの量のご飯を食べるのだろう?どれくらい体力があるものなのだろう?などと思っている際に、僕自身がナオ君に対して、『小学6年生』というラベルを貼って見てしまっていた事に気付いた。本来なら“普通の小学6年生は”というのは不要で、“ナオ君”という人間を直視すればいいだけだったんだ。

 

2.正しさを教える事は簡単だが信じることは難しい

ナオ君はしっかりしているが、世間の正しさでいうならば抜けているところも多い。目を見て話をするとか、感謝を伝えるとか正しさを指摘しようと思えば簡単にいくらでもできる。

しかし、ナオ君をよく観察していると彼は自分の世界を持っているようだった。みんなと同じ(世間の正解)を彼に求めていいのだろうか?と思ったし、正しさを教える事は簡単だが、その子をもっと深い部分で信頼し信じることの方が大事なのではないかと思った。信じてくれる人がいれば必ず力を発揮できる。愛という名の正しさのビンタを受け続け、ホントにあなたはダメねみたいな対応をされ続けるより、あなたは絶対大丈夫と信じてあげるほうがよっぽどその子は胸を張って生きれると思いました。

 

3.あなたのためなんだからは本当にあなたのためになのか

親の子どもに対するしつけなどで「あなたのためを思ってるから言うのよ」というのはよく聞くフレーズである。

歩きの休憩にとナオ君とカフェに入った。ナオ君ははじめは席に座っていたのだが、おもむろに席を立ちあがり、店の入り口付近の床に座った。どうしたのかと訊ねると携帯の電波がそこの方が入るのだと答えた。他のお客さんもいたので僕はナオ君に席に戻るように伝えた。それは、一応社会の常識だから。その時にちょっと待てよと思った。

周りから見たら僕は保護者である。それは本当にナオ君のために注意したのか?もしかしたら“自分が保護者として未熟だと他者に思われる事”に恐れたのでないか?と思った。

あなたのためなんだからは、自分が保護者として恥ずかしい思いをしないため、自分を守るための場合もあるのではないだろうか。

 

4.危ない事は取り払ってしまう

親や学校が子どもから危ないことを全部取り払ってしまっているように思う。すると失敗する経験も減るし、自分でやった成功体験をする機会も奪ってしまう。

歩いている道中では、通学路には「知らない人に声をかけられたら大きな声を出しましょう」という看板も見かけた。ヤバいなと思った。

そんななか今回、ナオ君を旅に送り出したお母さんは立派だと思った。ナオ君が行きたいというので、それを行ってきなというのはなかなか勇気のいることだと思う。ナオ君は食物アレルギーもあり、過去に何度も死にかけているし、5日滞在する間の宿も一つも決まっていなかった。結果として、宿は全て確保できて、危ない目にあう事も一度もなかった。最終日は15キロの行程をナオ君自身がリアカーを引いてクタクタになりながらもゴールの富山駅まで辿りついた。

はたして、これは無責任な親のとった選択なのだろうか?僕には勇気ある愛ある親の選択に思える。危ないからと危険を取り除き残った道は小石すらない整備された道で、ふいに壁にぶつかった際に自分でどうもできない。だってそれまで失敗もしていないし、自分の力で乗り越えた成功体験もないからだ。これからの時代サバイバル力が求められている気がする。

 

5.教えるばかりで教わる事を忘れてないか

大人は子どもは未熟だからと教えることにやっきになって子どもから教わる事を忘れてしまっているような気がする。ナオ君と過ごした5日間は僕にとっても貴重な体験になり、ナオ君を通して見た自分は発見が多かった。僕は年上だろうと年下だろうと、人間と人間として向きあいたいなと思っています。

 

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・ナオ君のお母さんのFacebookより

食物アレルギーの子供

ナオをやっと旅に行かせたお母さん

鼻炎と皮膚の状態がひどかった
ベビーのナオ
生後8ヶ月の時

耳鼻科で処方してもらった
点鼻薬を夜中にシュッ
夜中に救急車を呼んだ

卵が含まれていた
その日から私はナオの
重度の食物アレルギーと向き合う日々が始まった
振り返ると辛かった事しかない
辛かった
私がどんどん人を疑うしかなかった
母親になるって
子どもを守るっていつの間にか
こんなに疑うことしか出来なくなるのかと辛かったなあ

レストランもスーパーも
食べて大丈夫だと言うから食べさせたのに食べて大丈夫だと言うから買ったうどんだって

また救急車
卵が使われてるじゃん
何でレストランの人が知らないの?
何で原材料に表記してないの?
段々私が別人になってく
私の子どもだったから死なずに済んだけど
こんないい加減では
本当に死んじゃう人もいます!
その時あなたはどうするつもりなの?

もう私がやるしかない
私が全部疑って全部把握して
やるしかない

笑あの頃の私
本当かわいそうだったよーー笑

今はあの頃の私は良く頑張ったなって思う。

もーあんな思いヤダ絶対

あんな風に人を攻めたかったんじゃ無いのに
本当
自分がヤダったな
でも仕方なかった
本当に死んじゃうんだから

アレルギーの子を持つ親子は
比較的孤立しやすいのを知ってた
アレルギーの子を持つ母親を沢山知ってたから。
今は違うかもしれないけど
あの頃は孤立する親子は多かった

ただ、私は孤立する事を選ばなかった
それはナオが人が大好きな子供だったから
どんどん人の中に入って行く子供だったから

(中略)

ある時子供番組のコンサートにみんなで出かけた時
私の一番いつか来る見たくない場面に居ることになる
みんなでクルクルのソフトクリームを食べた
嫌だったなあ

その日の事は忘れられないなあ

ナオが最初で最後の初めて
『ママ、どーして僕はソフトクリーム食べられないの?』って言って泣いた

それを私に言うまでのナオの顔は
みんなが食べるソフトクリームを
ただ見ている
さみしい顔

私はすぐその場を離れて泣いた
泣いて泣いてナオに言った

ナオ
ナオはお友達と遊べなくなるのとソフトクリームが食べれないのどっちが嫌?

ナオはお友達と遊べなくなるのが嫌と答えた
まだ3歳
辛かったなあ私

じゃあ、ソフトクリームやケーキやみんなと同じ物が食べられなくてもそれはしょーがないよ
絶対必ず食べられる時は来るから

そー言うしかなかった
それからナオの大好きなゼリーを
買ってニコニコでみんなの所に
戻った

それからいつもいつも確認した

お出かけ行くけどみんなと同じ物食べれないよ。いいの?

いつもナオは
いいよ。それよりみんなと遊びたいから

良かったのか良くなかったのかわからない
答えはない
でも孤立しなくて良かったんだ
私が辛かったけど
孤立しなくて正解だった

それからも人にナオをちょとでも預けた時に限って間違って
食べたチーズパンでアナフィラキシーになったりしてナオも怖かったんだ

周りに居たママ達も怖い思いをした
色々な事あったなーーーー‼︎
楽しい事のがいっぱいあったのに
それはそれは辛い
ナオの食物アレルギー

今回やっとやっと人に任せて
ナオを信じて旅に行かせられるようになった。✨

やっとやっとあの子らしさ
全開だ‼︎

辛かった事は過ぎてくねーーー

今 だから
ハッピーーーー

 

ナオ君は新幹線で東京に戻り、お母さんに泣いて抱きついたんだとか。

妹のゆうゆちゃんからもメッセージが届いた。

「ゆうゆだよ!カヤノくんみのりちゃんありがとう。」単文でありきたりな内容だったが、僕はそこに確かな愛を感じた。

僕はこの家族の事が好きである。

 

最後に。。。ナオ君の5日間の旅。【episode/NAO/】をナオ君や、ファミリーに敬意を表し作製した。

 

 

 

 

 

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