オシリのひからない男ーその光に、自分自身が一番感動していたらいい。
「お星さまが落っこちてきたみたいだね。」
そうみのりが優しい声で言った。
僕達の目の前には、蛍が数匹、オシリをひからせながら飛んでいる。
一日歩いた汗を流しに行った温泉の帰り道に、たまたま僕が道を間違えたことによりその現場に遭遇したのだった。そしてそれはまるでたったふたりのために行われたプラネタリウム公演のようだった。
蛍を見たのなんて、子どもの時以来だろうか。はっきりとした記憶はない。
ふたり黙って、光ったり消えたりするお星さまを見ていた。懐かしい記憶をなんだかつつかれるような不思議な気持ちになった。
みのりは嬉しそうだった。そんなみのりをみて嬉しくなったオシリの光らない男がひとり。
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蛍は別に僕ら人間を喜ばそうとして生きているわけでも、光っているわけでもない。ただ蛍が蛍としているだけで、勝手に僕らが感動している。
誰かのために生きるでもなく、見返りを求めるわけでもなく。
ワタシとして生きたら。オシリを光らせて。
その光をみた100人のうち99人は「あらヤダ、汚い光。」というかもだけど、ひとりくらいは涙を流して喜んでくれるかもしれない。
そしてその光に、自分自身が一番感動していたらいい。
4号線を北に27日盛岡予定
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カヤノヒデアキ